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COLUMN

2023.04.11

用途地域ってなに?飲食店開業前にチェック!

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こんにちは!ミセギメジャーナルです。

飲食店を開業するにあたり、どこに店舗を出すかとても悩みますよね!みなさんは用途地域というものをご存じでしょうか?
用途地域という、エリアごとにその土地の使い方(用途)を定めています。その用途地域によっては飲食店が出店できない場所であったり、出店できたとしても面積などの制限を受けたりするものもあります。もし過去に営業をしていた店舗があれば、違反している状態で営業、あるいはそもそも無許可で営業をしていたということも考えられます。

せっかくオープンしたお店が後に営業停止処分になってしまうことも…!そのリスクを回避するためにも用途地域というものについて理解をしておく必要があります。

この記事では『用途地域』についてまとめているので、飲食店の開業を考えている方はぜひご覧ください!

【この記事の目次】

  • 1.用途地域とは何か?
  • 2.用途地域による開業の制限
  • 3.用途地域による開業の制限まとめ
  • 4.用途地域の調べ方
  • ・建物が他の用途地域をまたいでいる、または用途地域の境にある場合
  • 5.特別用途地区とは?
  • 6.その他制限について
  • ・深夜酒類提供飲食店を開業できる地域について
  • ・スナックなどを開業できる地域について
  • 7.まとめ

1.用途地域とは何か?

用途地域とは、計画的な市街地を形成するために、用途に応じて13地域に分けられたエリアのことです。用途地域ごとに“建築できる建物”と“建築できない建物”が明確になっているので、ある用途の建物が建築可能かどうかを、あらかじめ知ることができます。
あらかじめ地域を定めておくことで、無秩序な土地利用や住環境の悪化を防ぎ、用途ごとにあった環境をつくることができます。以下の13のエリアに分かれています。


・住居に関する用途地域(8地域)
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準工業地域、田園住居地域
・商業に関する用途地域(2地域)
近隣商業地域、商業地域
・工業に関する用途地域(3地域)
準工業地域、工業地域、工業専用地域
 

2.用途地域による開業の制限

それぞれの地域ごとに飲食店を開業できる・できないが決まっています。開業できる中にも制限が伴うエリアもありますので、店舗探しの時はあらかじめ調べておきましょう!

◇第一種低層住居専用地域

この用途地域では、「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と規定しています。そのため、以下のとおり、住居に関する用途地域の中では最も厳しい制限があります。
・兼用住宅(店舗兼住宅)で、非住宅部分の床面積が、50㎡以下かつ建築物の延べ面積の2分の1未満のもののみ飲食店を出店・開業することが可能。
※ここで言う兼用住宅(店舗兼住宅)とは、住宅に住みながら店舗を経営するといったイメージです。他方、店舗と住宅の行ききができない構造のものは併用住宅と言い、この併用住宅では飲食店の開業はできません。

◇第二種低層住居専用地域

この用途地域では、「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と規定しています。第一種低層住居専用地域と比較して若干緩和されるものの、以下のとおり、依然として厳しい制限があります。
・兼用住宅(店舗兼住宅)で、非住宅部分の床面積が、50㎡以下かつ建築物の延べ面積の2分の1未満のものであれば飲食店を出店・開業することが可能。
※兼用住宅の考え方は第一種低層住居専用地域と同様
・2階以下で、かつ店舗等の床面積が150㎡以下であれば喫茶店を出店・開業することが可能。

◇第一種中高層住居専用地域

こちらは「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と規定しています。低層住居専用地域に比べ、飲食店の出店・開業についての制限が以下のように緩和されています。
・店舗等の床面積が500㎡以下で、かつ2階以下であれば飲食店を出店・開業することが可能。

◇第二種中高層住居専用地域

「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と規定されたエリアです。この用途地域では、第一種中高層住居専用地域と比べ面積制限がより緩和されています。
・店舗等の床面積が1,500㎡以下で、かつ2階以下であれば飲食店を出店・開業することが可能。

◇第一種住居地域

第一種住居地域は「住居の環境を保護するため定める地域」と規定しています。この地域では、ほぼ制限なく飲食店を出店・開業することができます。

◇第二種住居地域

第二種住居地域は「主として住居の環境を保護するため定める地域」と規定しています。この地域でも、第一種住居地域同様にほぼ制限なく飲食店を出店・開業することができます。

◇準住居地域

準住居地域は「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」と規定されています。この用途地域もほぼ制限なく飲食店を出店・開業が可能です。

◇田園住居地域

田園住居地域は、「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と規定しています。この地域では、田園住居地域のみの特徴として以下のような制限がかかっています。 
・店舗等の床面積が500㎡以下で、かつ2階以下であれば、その地域で生産された農産物を使用する場合は、農産物直売所(店舗)や農家レストラン(飲食店)を出店・開業することが可能。
・その地域で生産された農産物を使用しない場合は、店舗等の床面積が150㎡以下で、かつ2階以下であれば、店舗や飲食店を出店・開業することが可能。

◇近隣商業地域

近隣商業地域は、「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と規定しています。この地域では、大規模商業施設の建設が可能となり、飲食店も制限なく出店・開業できます。

◇商業地域

商業地域は「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と規定しており、その名のとおり、商業のための区域なので制限なく出店・開業することが可能です。

◇準工業地域

準工業地域は「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域」と規定しています。この地域では、軽工業の工場はほとんど建築できる区域ですが、工業専用の区域ではないので、制限なく出店・開業することができます。

◇工業地域

工業地域は「主として工業の利便を増進するため定める地域」と規定しています。あらゆる工場が建築できる区域ですが、工業専用区域ではないので制限なく出店・開業することができます。

◇工業専用地域

工業専用地域は「工業の利便を増進するため定める地域」と規定しています。この地域は、あらゆる工場が建設できる工場のための専用区域なので飲食店を出店・開業することができません。

◇用途地域の指定のない(無指定)区域

上記の13種の用途地域が指定されていない区域(無指定)で、一部の地域、あるいは都市計画区域外などに存在します。この区域では、制限なく飲食店を出店・開業することができます。
 
※〇参考:都市計画法 – e-Gov法令検索

3.用途地域による開業の制限まとめ

◎制限のない用途地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・用途地域の指定のない(無指定)区域
 
◎制限のある用途地域
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・田園住居地域
 
出店・開業できない用途地域
・工業専用地域
 
飲食店の出店・開業について制限のある各用途地域は、具体的な制限の範囲や内容について、行政の運用の問題もあると考えられるので、念のため、一級建築士に相談されるか、または、行政の窓口に直接問い合わせてみてください。

4.用途地域の調べ方

用途地域を調べる方法は、行政の窓口に直接問い合わせる方法、東京都であれば都市整備局のHPで地域選択→住所を入力することで調べることができます。神奈川県、千葉県、埼玉県など、各行政において用途地域がわかる地図等をHP上で公表しているところもありますので、まずはインターネットで検索してみてください。
〇東京都都市整備局:都市計画情報等インターネット提供サービス

建物が他の用途地域をまたいでいる、または用途地域の境にある場合

用途地域が異なる場合、面積が大きい方を土地の用途として適用されるなど制限が変わってきますので、HP等で分からない場合は必ず行政の窓口に問い合わせをしてください。

5.特別用途地区とは?

特別用途地区とは、すでに用途地域が指定されている区域に重ねて特別用途地区が指定され、用途地域の制限だけでは不十分な場合に、さらに細かな制限をかけたり、反対に制限を緩和したりする地域のことです。文教地区、小売店舗地区、娯楽・観光地区、研究開発地区等いくつもの種類があります。用途地域に加えてかかる制限があるので、こちらも用途地域とともに調べる必要があります。

6.その他制限について

深夜酒類提供飲食店を開業できる地域について

深夜酒類提供飲食店とは、深夜0時から午前6時までの深夜帯に主に酒類を提供する飲食店(居酒屋やバーなど)のことを言います。お酒を提供することを目的としないレストランやラーメン店などは除かれます。用途地域によってはそもそも深夜酒類提供飲食店営業ができない地域もあり、以下のとおりです。各自治体の条例と合わせ注意が必要なので、当てはまる飲食店を考えているのであれば必ず確認してください!

深夜酒類提供飲食店営業ができない用途地域
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・田園住居地域
※住居地域および準住居地域については、商業地域の周囲30m以内に位置していれば営業可能です。
 
深夜酒類提供飲食店営業ができる用途地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・用途地域の指定のない(無指定)区域
※深夜酒類提供飲食店は後述する保全対象施設の制限は受けません。

スナックなどを開業できる地域について(風俗営業1号許可が必要な業態)

スナックなどの店舗を出店・開業する場合、まずは飲食店営業許可をとり、そのうえプラスして風俗営業1号許可をとることが必要です。この風俗営業を行える地域も決まっています。
スナックなどの風俗営業ができない用途地域
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・田園住居地域
・準住居地域
※工業専用地域については、そもそも飲食店を出店・開業できない用途地域なので、当然、風俗営業もできません。
 
スナックなどの風俗営業ができる用途地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・用途地域の指定のない(無指定)区域
上記の用途地域の制限に加えて後述する保全対象施設が、一定の距離以内にないことが風俗営業ができるかの要件にもなりますので頭の片隅にいれておいてください。

◇保全対象施設による制限

保全対象施設とは、学校、図書館、児童福祉施設、病院、診療所をなどを指します。これらは風俗営業から有害な影響を受けないよう一定の保護を受ける施設のことです。逆をいえば、スナックなどの風俗営業店を出店するためには、出店可能地域に保全対象施設がないことが、用途地域の制限に加えて条件の1つになってきます。(例外として、保全対象の除外となる特定地域も存在します。)

7.まとめ

いかがでしたでしょうか?リスクを回避するためにもその場所(用途地域)で飲食店が出店・開業できるのかどうかを物件の賃貸借契約を締結する前に事前に調べておくのが不可欠だと分かりますよね!好立地、自身の希望どおりの物件だからといっても自身の店舗が営業できないエリアだと意味がありません。その後の店舗選びをスムーズにするためにも、事前に希望エリアの用途地域を調べておくことがいいですね!『ミセギメ』では、物件探しに伴う初めのご相談から、開業に至るまでのサポートが充実しています。ぜひご活用ください!

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