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COLUMN
2023.04.16
飲食店の利益率をあげよう!目安や計算方法は?
こんにちは!ミセギメジャーナルです。
飲食店に限らず経営には必ず「利益」がつきものです。この利益をどれだけ上げられるかが飲食店でも重要になってきます。安定した経営を行うために必要な利益の大きさは、店舗の規模によって異なります。そこで、指標となるのが「利益率」というものです。この記事では、利益率の意味や計算方法、利益率を上げるポイントなどをご紹介していきますので、ぜひご覧ください。
【この記事の目次】
- ・飲食店の「利益の仕組み」
- ・飲食店における利益率とは
- ・利益率の目安は?
- ・利益率に関する2つの指標
- ・利益率を上げる7つのポイント
- ・まとめ
飲食店の「利益の仕組み」
利益と一言でいってもさまざまな種類があります。ここでは、飲食店の経営で特に押さえておきたい、「売上総利益(粗利)」と「営業利益」をピックアップしていきます。
*売上総利益(粗利)
売上総利益(粗利)とは大まかな利益のことで、「売上高」-「売上原価」で算出します。売上原価とは、仕入に使った費用のうち実際に売れた商品にかかった費用のことです。例えば、仕入れに1,000円かかり、商品を1,700円で提供した場合、粗利は1,700円-1,000円=700円になります。
・粗利率とは
粗利率とは売上高に占める粗利の割合です。「粗利」÷「売上高」×100%で算出できます。先と同じ例で計算した場合、粗利は700円、売上高は1,700円のため、700円÷1,700円×100%=41.1%が粗利率です。
*営業利益
営業利益とは主とする事業で得た収益のことで、売上高から費用を差し引いた金額を指します。そのため、算出するための計算式は「売上総利益(粗利)」-「費用」です。具体的な費用については以下です。
・営業利益率とは
営業利益率とは売上高から費用を引いて残った利益の売上高に対する割合です。「営業利益」÷「売上高」×100%で算出します。
*費用とは
飲食店を経営するには、仕入原価や人件費のほか、家賃や水道光熱費、広告費など、さまざまな費用がかかります。これら費用が売り上げに対してどれくらいの割合を占めるかを知ることは、利益を確保するために重要です。
・変動費
変動費とは売上の増減に比例して変動する費用です。例えば、調理人や接客スタッフなどの人件費、水道光熱費、お店を紹介するチラシ代などの広告(販売促進)費などが該当します。ちなみに、人件費とは給与だけではなく、交通費やまかない代、福利厚生費なども含めた費用です。
・固定費
固定費とは売上に関わりなく一定にかかる費用です。例えば、ビルなどの一部を借りて店舗として利用する場合のテナントの賃料、厨房機器などをリース契約する場合のリース料などが該当します。さらに、高額な調理器具や厨房機器を購入した場合などに計上できる、減価償却費も固定費です。
飲食店における利益率とは
利益率とは「利益」の「売上高」に対する割合を示し、「利益」÷「売上高」×100%で算出します。利益とは売上高から仕入などにかかった原価を引いた金額です。
*比較例
2つの商品を例に挙げて利益率を比べてみましょう。商品Aは「仕入れ原価2,000円、販売価格3,500円、利益500円」、商品Bは「仕入れ原価20,000円、販売価格25,000円、利益2,000円」とします。
この場合の利益率は、商品Aが500円÷3,500円×100%=約14.29%、商品Bが2,000円÷25,000円×100%=8%です。単純に金額だけ見ると商品Aより商品Bのほうが利益は高くなっていますが、実際の利益率は商品Bより商品Aのほうが高い結果になっています。
利益率の目安は?
*飲食店の利益率の目標値は10~15%
単純に利益の金額だけを見ても、十分に得られているかの判断はできないため、利益ではなく利益率を目標として設定することが大切です。利益率の目標値は、飲食店の場合10~15%とされていますが、相場は業態や各店舗の状況などによって異なります。
*利益率に関する実状
2020~2021年の統計によると、飲食業界で最も高かった企業の利益率は12.5%です。過去の統計では30%を超える利益率を出していた企業もありましたが、新型コロナの影響もあり、5%程度の利益率しか出せなかった店舗も少なくありません。
利益率に関する2つの指標
目標とする利益率を考える際に指標となる「損益分岐点」と「FLコスト」というものがあります。
*損益分岐点
損益分岐点とは損失と利益が等しくなるボーダーラインです。ここでの利益とは「売上」を指し、損失とは「経費」を指します。売上が損益分岐点を下回っていれば経費が売上を超えているため赤字です。反対に、売上が損益分岐点を上回っている場合は売上が経費より多いため黒字を意味します。
・計算例 (◆損益分岐点は固定費÷(1-変動費÷売上高)で算出)
売上高300万円、固定費85万円(賃料25万円+社員の人件費60万円)、変動費100万円(食材費60万円+アルバイトの人件費40万円)のケースを例に挙げて、損益分岐点を実際に算出してみましょう。
このケースの各金額を先で紹介した計算式にあてはめると、85万円÷(1-100万円÷300万円)で、損益分岐点は約127万5,000円(小数点以下切り捨て)です。つまり、およそ127万5,000円を超える売上で黒字になるといえます。
*FLコスト
FLとはFoodとLaborを組み合わせた言葉で、食材費と人件費を合わせた金額をFLコストといいます。飲食店では食材の仕入れにかかる原価と人件費が最も多くかかるコストなため、、FLコストや、売上高に占めるFLコストの割合を示すFL比率を把握しておくことは重要です。
・計算例 (◆FL比率は「FLコスト」÷売上高で算出)
損益分岐点の例と同じく、売上高300万円、固定費85万円(賃料25万円+社員の人件費60万円)、変動費100万円(食材費60万円+アルバイトの人件費40万円)と仮定し、FLコストとFL比率を算出します。
この場合、食材費は60万円、人件費は社員の60万円とアルバイトの40万円を合計した100万円です。これらを先で紹介した計算式にあてはめると、FLコストは60万円+100万円=160万円、FL比率は160万円÷300万円=約53.33%になります。
利益率を上げる7つのポイント
飲食店経営において重要な、利益率を上げるためにできる7つのポイントを紹介します。
*人件費の削減
コストを占める割合が大きい人件費を抑えると、利益率につながる効果を期待できます。上限金額の理想は売上高の25~30%程度です。継続的に人件費を抑えるには、販売状況の記録や集計ができるPOSレジや、受注の一連業務を自動化できる受注システムを導入するなどして、オペレーション改善に取り組む方法があります。
*食材費の削減
人件費と並んでコストの多くを占める食材費も節約効果の期待が高く、工夫次第で削減できます。食材費を抑えるためには、現状使用している食材を見直す必要があります。簡単な方法では、現在使用している食材よりも安く手に入れられる食材、安く仕入れられるルートに変更ができると食材費の削減が可能です。
*損益分岐点・賃料の比率
計画中の段階であれば、事前に損益分岐点を把握しておきましょう。客単価や客数から売上高を逆算し、損益分岐点を超えなかった場合には、出店すると赤字になるリスクが高くなります。そのような際には、賃金がより安い物件探しや域の再検討を行うことが必要です。固定費の一つである賃料の比率を抑えることは利益率アップの有効策ですので、事前の計画段階でこれらが分かっているとスムーズです。
業態ごとの賃料相場についてはコチラで解説しています。
▶テナントとは?気になる賃料相場や手数料についても解説します
*「集客商品」だけでなく「高収益商品」も
集客商品とはその名の通り客を集めるための看板メニューなどの商品で、通常は利益を求めずに仕入原価とほぼ同額で価格の設定をします。その一方、高い収益を見込んで販売する「高収益商品」をバランスよく取り入れることで利益が見込めます。高収益商品は原価率が30%以内となるようにし、お客様からコストパフォーマンスがよいと思われるような品揃えをすると良いですね!
*食材ロスの削減
仕入れた食材はできる限り使い切って無駄な食費を発生させないようにすると、コストが削減でき利益率アップにもつながります。食材を使い切るためには消費期限が長い冷凍食品などを活用するのも1つの方法です。また普段から在庫の管理はしっかり行っていきましょう。
*回転率を上げる
特に客単価が小さいお店は、利益を確保するため回転率を上げる必要があります。回転率を上げるためにはレイアウトの見直しが有効で、例えば来店客1組あたりの人数の需要に合わせて、テーブルのサイズを決め、必要に応じて席数を増やすなどで、無駄な空席を作らず回転率を上げられます。
*客単価を上げる
売上はおおまかにいうと客単価×客数です。そのため客単価を上げること、客数を増やすことは利益率アップにつながります。その場で食べることで注文数に制限がある飲食店では、利益率の高い商品の注文率を上げる方法が有効です。注文してもらいたいメニューを、店内で目立つように掲示したり、目に付きやすい大きい写真で紹介したりする等の工夫が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。飲食店の経営には利益率を考えた事前準備や、経営しながら日々試行錯誤していくことが必要でしたね!ぜひ利益率の意味や目安、利益率を上げるための具体的な方法など、飲食店経営における基礎的なことを押さえ、安定的な経営を目指しましょう。
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